関電トロリーバスの高所作業車に貼付されていた犬塚製作所の架装銘板。保守用車への架装例がこれ1件のみであるので本稿では扱わないが、車体後面に貼付されていた。
はじめに
一般的な保守用車においてメーカーの銘板が貼付されている様に、軌陸トラックにも架装メーカーの銘板(架装銘板)が貼付されている場合がある。
保守用車の中でも情報が少ない軌陸トラックにおいて、架装メーカーを特定する重要な手掛かりとなるのは勿論の事であるが、一般的な保守用車に比べ総じて分かりづらい処に貼付されており、機種によって貼付位置もバラバラであるため、これまで研究の障害となってきた。
そこで本稿では各架装メーカー別で貼付位置の傾向をまとめる事とした。
東洋車輌の架装銘板貼付位置
銘板は黒地の縦長である。車種によって貼付位置が異なるので下記にまとめた。
なおレンタルのニッケン等他社へのOEM車の場合、東洋車輌の銘板とOEM先の銘板がそれぞれ別位置に貼付されている場合があるため留意されたい。
■軌陸高所作業車
高所作業台の柱に貼付されている例が多い。稀に後述する右前輪直後に貼付されている個体があるので注意。
また、防雨カバーやアオリ板に塞がれて銘板が確認できない場合があるので、イベント等で見学する際は高所作業台の柱を確認させてもらう事が望ましい。
防雨カバーが掛かっている場合(上)とアオリ板で銘板が遮られている場合(下)
■軌陸トラック、軌陸高所作業車(ブーム式)、軌陸延線車ほか
右前輪直後に貼付されている。ホース等が多く視認しづらい箇所であるので、角度を変える等工夫して撮影しよう。
アイチコーポレーションの架装銘板貼付位置
銘板は紺色地の横長である。機種によって貼付位置が異なるので下記にまとめた。
■RH125、RL050、RG200、U498、U524ほか
旋回台柱部の左右いずれか、または両側面に貼付されている。
■U565、LZ10KRS、LZ09JIRSほか
旋回台の正面(キャブ側)に貼付されている。旋回台が前方に傾斜している箇所で視認しづらい上、旋回台に防護板らしき鉄板が取付されており障害となるため撮影は困難である。防護板をかわせる高い位置からの撮影が望ましい。
■LK12Aほか
旋回台の後面に貼付されている。
■UJ067ほか
左側面の荷台に貼付されている。
■LX04A、LX05J1LSほか
高所作業台の左側面後方部に貼付されている。
■U625、U704ほか
左前輪直後に貼付されている。ホース等が多く視認しづらい箇所であるので、角度を変える等工夫して撮影しよう。
■UJ092ほか
右前輪直後に貼付されている。こちらも撮影には工夫が必要。
■UJ065ほか
左側面のパワーユニット付近に貼付されている。
タダノの架装銘板貼付位置
銘板は銀色地の横長である。車種によって貼付位置が異なるので下記にまとめた。
■軌陸高所作業車(ブーム式)
AT-100SおよびAT-100SDWについては旋回台に貼付されている。
なおAT-100Sには右前輪直後に東洋車輌の銘板も貼付されており、こちらも忘れずに撮影願いたい。
■軌陸クレーン
クレーン操作室の右側面に貼付されている。
レンタルのニッケンの架装銘板貼付位置
銘板は小豆色地の横長である。貼付位置は下記2パターンのみ。
■左側面に貼付されている場合
後輪の前方に貼付されている。
■右側面に貼付されている場合
右側面キャブ~荷台の間に貼付されている。
ホース等が多く視認しづらい箇所であるので、角度を変える等工夫して撮影しよう。
なお東洋車輌によるOEM車も同位置に貼付されている。
軌陸車テックの架装銘板貼付位置
銘板は銀色地の縦長で東洋車輌の銘板とほぼ同サイズである。
なお東洋車輌によるOEM車については、東洋車輌の架装銘板と同位置に軌陸車テックの架装銘板が貼付されている。
貼付位置は左側面のキャブ~荷台間である。
松山重車輌工業の架装銘板貼付位置
銘板は一般的な保守用車と同様の黒地の横長である。
貼付位置は各車バラバラで傾向が掴めないが、荷台など目につきやすい部分に貼付されており、銘板自体の大きさも相まって貼付位置の把握は容易である。
小松製作所の架装銘板貼付位置
銘板は一般的な保守用車と同様の黒地の横長である。貼付位置は下記2パターンが確認されている。
■右側面前方に貼付されている場合
前輪直後に貼付されている。
■右側面後方に貼付されている場合
右側梁の最後部に貼付されている。
おわりに
JR西日本が保有している軌陸検測車に貼付されている小松製作所と京成自動車工業のステッカー。後者における軌陸車の架装事例はたいへん珍しい。この事実もこの写真の投稿がなければ分からなかった。
軌陸車の架装銘板貼付位置の解説は以上となる。
当DB会員の皆様の投稿により、ここまで架装メーカーの全貌に迫れる様になった事は喜ばしい限りである。
この場を借りて会員の皆様に謝意を申し上げたい。
なお、軌陸車ひいては自動車業界においてはありがちな事ではあるが、架装メーカーは一般的な保守用車に貼付されている様な製造年月や型式入りの銘板を貼付しない場合も多々見受けられる。
社名入りの銘板やステッカーの貼付で済ませる場合も多く、詳細な記載がないので情報として不十分ではあるが、それでも架装メーカーが特定できるため充分に記録の価値はある。
会員の皆様には、これらステッカーの類もぜひ記録していただきたくお願いを申し上げたい。