ゆっこ盛岡

イントロダクション


保守用車鉄活動において問題となるもの。
それは宿だ。

製造銘板撮影のように日中活動し、夜間はホテルで休息を取るというスタイルであれば宿の問題はそうそう生じないが、作業撮影のように夜間活動となると話が変わって来る。
終車後、午前0時に作業が着手されるとさんざん追いかけ、撮影をして、満足いくのが午前3時や午前4時。そこから宿のあるような街場へ出るだけで小一時間かかり午前5時。こんな時刻にチェックインできる宿はない。
こんなとき頼りがちなのは、インターネットカフェの類だ。24時間開いており、リーズナブルに仮眠を取ることができる。
しかし、いかんせん回数を重ねるとネカフェ泊もつらくなって来る。そもそもネカフェは宿泊利用を是としておらず、絶妙に快適ではないように作られている。あの薄いマットレスと乾燥しきった空気に辟易した人は多いだろう。

そこで、強い味方となるのが24時間営業の健康ランド・スーパー銭湯だ。
健康ランド・スーパー銭湯であればネカフェと同価格帯で風呂に入ることができ、仮眠室で眠ることができる。ところにより値は張るかも知れないが個室もあり、時としてホテル以上の快適性を誇る。チェックイン・チェックアウト時間も比較的融通が利くのもありがたい。
そんな保守用車鉄活動にお役立ちな健康ランド・スーパー銭湯のひとつとして、本稿では岩手県盛岡市にある「ゆっこ盛岡」を紹介していこう。

なお、本稿は2023年11月現在の情報を示していることをご留意いただきたい。

 
レビュー


ゆっこ盛岡の魅力はやはり何といっても清潔さである。ここは昔からあるスーパー銭湯なのだが、2017年に大規模な改装工事が行われてかなり近代的になっている。清掃も行き届いており、潔癖症の人でも安心だろう。

そして2階のリラックスルーム。通常のスーパー銭湯の休憩室と同様にリクライニングチェアが並ぶ中、ヨギボークッション(いわゆる「人間をダメにするクッション」と呼ばれるやつ)やハンモックが備え付けられているのは嬉しい。徹底的に癒されよう。
更に嬉しいのがそれとは別に仮眠室が存在し、ここには大量のマットレスと毛布が備え付けられているのだ。筆者はリクライニングチェアで眠ることが苦手な性質なので、布団同様に横になって寝られるこの部屋の存在は有難い。
そして仮眠室の心配といえば、多客時に寝床を確保することができるかという心配であるが、これも心配ご無用。リラックスルームとは別にプレミアムラウンジと称する有料の仮眠室があり、ここは事前予約が可能なのだ。プラミアムラウンジにはフルフラットのリクライニングチェアが並べられており、ベッド同様の寝心地である。このプランを選ぶと耳栓やアイマスク、ソックスなど快眠グッズをもらえるのも嬉しい。

スーパー銭湯の最重要設備、それは風呂である。ここもいたって清潔であり、気持ちよく利用することができる。近年のサウナブームに乗っかってその方面に力を入れているのか、サウナ目当ての利用客が多いように思われる。
中央に円形の浴槽があり、それが中央で仕切られて片方が通常のお湯、もう片方が水風呂になっている。明らかに水風呂が大き過ぎる。一方、本来水風呂があるべき場所である浴室の片隅には炭酸泉が備わっており、おそらくではあるがサウナブームが去ったあとは水風呂と場所を入れ替えるのかも知れない。
その他、マッサージバス、電気風呂、露天風呂などはいっぺん通りに備わっている。いかんせん露天風呂はサウナからの外気浴の人が多く、湯船につかっている人が少ない。
客層は岩手大学が近いことや、岩手県立大学からのバス路線沿いであることもあいまって夜間は大学生が非常に多い。一方、朝は近所の老人が多く見られ、北東北地方の朝風呂文化を垣間見ることができる。

ゆっこ盛岡の食料事情であるが、これもまた心配は無用。大阪王将ならびに居酒屋が入っており、22:00ラストオーダーで23:00まで営業している。驚くべきことに2階のリラックスラウンジに備え付けの喫食スペースには大阪王将と居酒屋の注文用QRコードが置いてあり、”出前”をしてくれる。
1階にはセブンイレブンの自販機があり、サンドイッチやおにぎり、カットフルーツといった軽食が販売されていた。ストイック派にも嬉しい設備。

スーパー銭湯として優等生のゆっこ盛岡だが欠点もある。それは休憩プランが朝5時から受け付けていない点だ。
夜間活動し通して10時の休憩受付まで待てというのはなかなか無理がある。したがって、早めに撮影を切り上げて25時までにチェックインするか、夜間撮影前の仮眠場所として活用するか、あるいはもう単純に早い時間から宿泊するつもりで来るかとなる。
筆者としてはもう単純に盛岡の宿泊地として活用してもらいたいと考えている。それだけの魅力とコスパの良さがあるスーパー銭湯だからだ。仮の宿と捉えるには少々もったいない。早めにチェックインしてゆっくりと身体を休めるという使い方をおすすめしたい。

ゆっこ盛岡は、たとえば田沢湖線のHTR600Rの撮影前に、はたまた一戸のTMC300を愛でたそのあとに、北東北方面への出撃の際さまざまなシーンで活用できるはずである。

 
宿泊地情報


店名 ゆっこ盛岡
住所 岩手県盛岡市上堂4丁目10-8
フロント受付時間 5:00~25:00(9:30~10:00休止)
公式webサイト https://yukko-morioka.jp/
入浴プラン 通常入浴 10:00~24:30
朝風呂 5:00~9:30
休憩プラン 日帰り休憩 10:00~24:00
朝まで休憩 10:00~翌9:00(受付は25:00まで)
注記 休憩プランの場合、2階リラックスエリアを利用可能となる。
休憩プランの場合、フェイスタオル・バスタオル・館内着の貸出あり(カミソリ・歯ブラシ付)。
休憩プランは朝10時以降のみの受付となることに注意。