BRM300


■概要
2001(平成13)年3月に導入されたバラストレギュレータ。
既存のJS-BRが作業専用車で基地間の移動に牽引用の軌道モータカーが必要という非効率な運用になっていたため軌道モータカーにバラスト作業機能を持たせた構造となっている。
当形式導入により仕業時間の短縮が図れたほか回送時の連結・解放作業がなくなり実作業時間が拡大することとなった。また、後述の速度抑制装置により急勾配での作業が可能となっている。

 

■外観
3-4位側に運転室とは別に作業用の操作室を有している。

一方で運転室及び機関室廻りはJR西日本向けのTMC300C-Wとよく似た形状をしている。


大幸産商は保守用車の整備を主に行う会社で車両の製作実績は殆どないためベース車両を富士重工から調達した可能性が考えられる。

 

■駆動装置
変速機はパワーシフトトランスミッションで前後2軸を駆動する。また33[‰]以下で0~3.5[km/h]の範囲で無段階変速で移動できる定低速度走行機能を持たせている。

 

■スイーパー及び掻き上げ装置
・メインスイーパー
回転ブラシとベルトコンベアから構成されておりバラストを整理しながら軌間内の余分なバラストを軌間外に移動させる。

△メインスイーパー(赤枠部分)

・サイドスイーパー
左右に独立した回転ブラシとベルトコンベアから構成されるスイーパを設け軌間外のバラストを軌間内の不足部分に移動させる。
回転ブラシとベルトコンベアは独立して動作可能でバラスト掻き込み位置と散布位置を自由に選択できる。

△サイドスイーパー

・掻き上げ装置
車体中央部左右に回転ブラシを設け道床尻から方へと掻き上げ整形を行う。

△掻き上げ装置

 

■その他装置
・散水装置
車両前部と掻き上げ装置に設けている。散水スイッチを入れた状態で走行ペダルを踏むことで連動して噴水する。水タンク容量は2,000[L]である。

・油圧装置
牽引油圧作業車の供給用に台枠前後に油圧カプラーを装備している。

・速度抑制装置
下り勾配における過速度が原因の作業不足を防ぐため低速度切替スイッチを設け外部操作により速度調整ができるようになっている。

 

■主要諸元

項目 諸元
外形寸法 全長 9,890[mm]
全幅 2,700[mm]
全高 3,635[mm]
軸距 4,200[mm]
自重 18.0[t]
積載量 2.5[t]
機関 形式 13,741[cc]4サイクル直接噴射式ディーゼルエンジン
定格出力 191[kW]/2,000[rpm]
動力伝達装置 パワーシフトトランスミッション2軸駆動
トルクコンバータ 3要素1段2相形(減速比:2.32/0.98)
ブレーキ装置 空気ブレーキ装置(主ブレーキ)
排気ブレーキ(連続下り勾配区間用)
手ブレーキ装置(補助ブレーキ)
ブラシ寸法 メイン 2,100[mm]/Φ700[mm]
サイド 600[mm]/Φ700[mm]
掻き上げ 2,000[mm]/Φ400[mm]
水タンク 2,000[L]

 

■主要性能

走行方法 線路勾配[‰] 牽引重量[t] 走行速度[km/h]
単車 牽引
トルコン走行 0 250以上 50以上 45以上
10 220以上 50以上 10以上
25 100以上 50以上 10以上
油圧走行 33 0~3.5

参考文献
1)片岡信一『バラストレギュレータの導入(軌道モータカー兼用型)』,新線路,第55巻7号,鉄道現業社,(2001.07)