■概要
当形式は2017(平成29)年10月よりJR九州で運用を開始したバキューム式道床交換機である。
実運用では当形式とMFS 50が2両1ユニットとなっている。
従来の道床交換作業は軌陸バックホウを用いた施工で1晩あたり約10~12[m]程度が限度であったが当形式導入により作業延長を25[m]に設定している。
■構造
特徴的なフロント廻りの構造は以下のようになっている。
・可動式マニピュレーター
主にマクラギ間のバラストを吸引する機構で軌道中心から3,400[mm]の範囲まで吸引可能。操作は地上オペレータが外部リモコンにより目視しながら掘削深さや掘削範囲を調整しながら行う。
・アンダーカッター
左右に一つずつ装備していて主にマクラギ下面の掘削を行う。操作は車上オペレータが地上からの誘導、およびモニターを確認しながら掘削角度の設定を行う。
・吸引ノズル
左右に一つずつ装備していてアンダーカッターで掘削したバラストを真空タンクへ送り込む。
・真空タンク
最大8[立米]の容量がある真空タンク。大型の真空ポンプ二台でタンク内を真空にし吸引ノズルや可動式マニピューレーターで吸引したバラストを蓄積する。
センサーが満タンを感知するとオペレータに知らせるようになっていて、オペレータの操作でタンク下部の蓋が開きベルトコンベアによってペアを組むMFS50に送られる。
■諸元
・主要諸元
名称 | 道床交換機(VM 170 JUMBO) |
全長 | 34.9[m] |
全幅 | 2.998[m] |
全高 | 3.991[m] |
総車輪数 | 18[輪] |
遊動軸 | 1[軸] |
・動力諸元
名称 | 水冷8気筒4サイクルディーゼルエンジン |
定格出力 | 783[kW]/1800[rpm] |
オルタネーター | Caterpillar 9L-6643Cat F5211F5 |
参考文献
1)一宮大輔『車種別機械概要⑮道床交換用保守用車』,日本鉄道施設協会誌,2019年1月号,日本鉄道施設協会(2019.01)
2)一宮大輔『バキューム式道床交換機の導入』,新線路,第72巻3号,鉄道現業社,(2018.03)
3)一宮大輔『道床交換機の施工状況』,新線路,第72巻3号,鉄道現業社,(2018.03)