■概要
ボギー台車と箱型車体を備えた大型のレール探傷車。
トキメック製の探傷装置を搭載しており、40[km/h]での探傷走行が可能である。
山陽新幹線に導入された。
■探触子
従来の探傷車は探傷ユニットにタイヤ型探触子を使用しており、パンクの恐れがあった他、欠線部がある分岐器や定尺レール区間が測定不能であった。
本形式では探傷感度・探傷速度・堅牢性・コスト等が優れている水ギャップ法による摺動型探触子方式が採用された。
■エコー検出方式
従来のゲート方式と呼ばれる検出方式では傷の有無しか把握出来なかったが本形式ではA/D変換方式を採用し、傷の部位や種別、大きさが判断可能になった。
■凍結防止装置
探触子とレールの媒介として使用される水膜は検測時に0.5[mm]程度の薄さのため、気温が氷点下になると瞬時に凍結し雑エコーが検出されていた。
本形式では凍結防止装置としてエンジン冷却水と探傷水の熱交換器が設置された。
■機能向上
本車両は1999年にJR西日本向けとして1両が製作されたが、2010年には経年11年を迎え制御装置のコンピュータで故障が発生していた。
これらはサポートの終了により修理が困難であったり部品が生産中止となっていることからOSをwindowsに変更し、汎用性のあるPC/AT互換機によるシステムへ変更した。
また、この改修に合わせ複合探触子の個別探触子化やレール凹凸測定装置の追加、その他老朽箇所の取換などを実施している。
諸元表
■ 寸法・重量
長さ | 17,050[mm] |
幅 | 2,950[mm] |
高さ | 3,820[mm] |
軌間 | 1,435[mm] |
自重 | 42[t] |
■ エンジン
定格出力 | 243[kW]/2,000min-1 |
排出ガス対策 | 第一次基準適合 |
■レール探傷装置
探傷方式 | 超音波パルス反射法または透過法 |
探触子方式 | 水ギャップ法による摺動型探触子方式 |
探触子ブロック | 複合探触子→個別探触子 |
探傷速度 | 40[km/h] |
△探触子配置
■その他装備
レール頭頂面凹凸測定装置
マーカーガン装置
分岐検知器
45kVA発電機
参考文献
1)松山重車輌工業株式会社『作業車・検測車 | 製品紹介』
http://www.mjk21.co.jp/seihin/sagyosha.html
(2020/05/03)
2)堀克則・鈴木洋平・古谷勝『山陽新幹線における新型レール探傷車の導入』,日本鉄道施設協会誌,38巻,3号,日本鉄道施設協会,(2000.3)
3)野田博徳・白石輝光・堀 克則『山陽新幹線における新型レール探傷車の導入』,新線路,55巻,9号,鉄道現業社,(2001.9)
4)田原興太『山陽新幹線におけるレール探傷車の部分取替にあわせた機能向上策 -レール凹凸測定装置の導入-』,新線路,65巻,11号,鉄道現業社,(2011.11)