スラブ軌道作業車


■概要
鉄道運輸機構が新幹線建設工事のために保有する車両。
スラブ軌道を敷設する目的の車両として鉄道運輸機構内ではスラブ軌道作業車という名前で一括りで呼ばれている。その中からスラブ運搬敷設車とレール送込み装置車について解説する。

 

■スラブ運搬敷設車
スラブ運搬敷設車は軌道スラブを所定の位置に敷設するために使用される車両である。

軌道スラブは工場で作られ陸路で軌道基地へと運ばれる。検査後クレーンにより鉄製トロへと積み込まれて仮軌道上を走行し敷設現場へと運ばれる。

△鉄製トロに載せられた軌道スラブが運ばれていく。文献1)より

スラブ運搬敷設車は軌間3[m]の車両である。そのため敷設現場ではスラブ運搬敷設車用の軌道を作った上で車両を載線する。

△3[m]軌道造りの様子。文献2)より
どういうことかというとスラブ軌道を敷設する区間ではモータカーやトロが走行する軌間1,435[mm]の軌道とスラブ運搬敷設車が走行する軌間3[m]の軌道が一時的に並行に設置されるということである。軌道スラブを運搬してきたトロはスラブ運搬敷設車の中にもぐりこむ形となる。

△スラブを運搬してきたトロはスラブ運搬敷設車の中に入っていく。文献2)より

そしてトロからスラブ運搬敷設車へと軌道スラブが授受される。

△軌間3[m]の仮軌道の様子も見て取れる。文献2)より
軌道スラブを受け取ったスラブ運搬敷設車は所定の位置で軌道スラブを下ろし設置を行う。

△軌道スラブ敷設の様子。文献1)より

 

■レール送込み装置車
レール送込み装置車は200[m]の長尺レールをコンクリート路盤上に下ろしていくための車両である。編成としてはレール送込み装置車を先頭に鉄製トロを26[両]つないで200[m]レールを載せ、後方からモータカーで押して走行する。

△200[m]レール運搬の様子。文献3)より
編成は敷設された仮軌道上を走行し、仮軌道の先端まできたところで当車両がレールを路盤へ向けて送り出していく。

△レール先端に施設を傷つけないための「舟」と呼ばれる黄色の金具を付けて送りだしていく。文献3)より

レールは送込み装置車に装備されたローラーによって送りだされる。200[m]のレールを送り出すために要する時間は約15[分]である。送り出されたレールは木製の台に固定され軌間と高さ、通りを検測して仮軌道の設置完了となる。

△下のローラーが回ってレールが送り出されていく。文献3)より

 

参考文献
1)九州新幹線建設局『九州新幹線西九州ルート(武雄温泉・長崎間)の軌道敷設工事について』,鉄道・運輸機構だより,No.69,鉄道建設・運輸施設整備支援機構,(2021.04)
2)広栄工業株式会社『線路新設』
https://koueikougyou.jp/pages/12/(2023.01.04)
3)鉄道運輸機構大阪支社 小松鉄道軌道建設所『ミリ単位の精度で進められる軌道敷設。鉄道のまち・小松に新たなレールが伸びる』
https://www.jrtt.go.jp/project/working-report/hokuriku/no68/(2023.01.04)


 

スラブ運搬敷設車

レール送込み装置車