RT-13

F.W.Roberts『SELF-PROPELLED CRANE FOR TORONTO SUBWAY』,Railway Gazette,1968-09-06,IPC Transport Press,(1968) より


■概要
カナダ・トロント地下鉄では、引退した電車を改造した車両をレールの取り換えなどの保守作業に運用していたが、老朽化が目立つようになった。そこで、丸紅飯田カナダ(当時)を介して日本車輌製造が受注、製造したのが、このRT-13である。
地下線内におけるレールと分岐器の自動積み下ろしと積み込みがこの車両の主な用途となっている。なお、台車はトロント地下鉄の手持ち品を現地にて装着した。

 

■構造
地下線内において資材の積み込みおよび積み下ろしをスムーズに行うため、ガントリー式の構造を取り入れている。
各作業箇所間の移動は営業電車の間を縫って行うことから、第三軌条より直流600 Vの電流を取り込む、自走用の弱め界磁付き電空カムシャフト制御装置を備えている。
台車および車体構造への負荷を考慮し、クレーン基礎は車体中央部に設置されている。
クレーンはガントリー式で、車体側面の上部にそのためのレールが敷かれており、車端部に設置されたウインチ(ホイスト)を介すことでレール等資材の積み下ろしと積み込みを容易にしている。
クレーンは床下に設置された水冷式四気筒ディーゼルオルタネータにより駆動し、予備の空気圧縮機も設けられている。
脱線および転覆を防ぐため、走行用のガントリーは垂直軸ガイドローラーによって安定性を実現している。
ガントリーの端部に設置されたローラーの最大荷重および旋回機構(タレット)の角度は、45 度まで対応できるように設計されている。

 

■諸元

長さ 68[ft](連結器面間)
10[ft] 3 5/8″[in]
高さ 11[ft] 11 1/2″[in]
軸距 45[ft](ボギー台車間)

 

■クレーン

長さ 35[ft](フック中心間)
アウトリガ 前後四ケ所

 

■参考文献
1)F.W.Roberts『SELF-PROPELLED CRANE FOR TORONTO SUBWAY』,Railway Gazette,1968-09-06,IPC Transport Press,(1968)
2)『日車の車輌史 写真集 昭和30年から100周年まで』,鉄道史資料保存会,(1997)