25_噴射吸引式除雪車

『新幹線で噴射吸引式除雪車の試作成る』, 新線路, 35巻3号, 鉄道現業社, 1981年3月より引用

概要


噴射吸引式除雪車とは、軌道上に積もった粉雪に対して高圧の圧縮空気を噴射し、舞い上がった雪を吸い取って線路外へ投雪する保守用車である。
1980年に国鉄新幹線総局の昭和55年度技術課題として開発が行われ、東海道新幹線関ケ原地区にて試用された。なお、同地区の雪対策として1966年から1967年にかけてジェットスノーブロワが試行されている。ジェットスノーブロワがジェットエンジンの噴流で雪を吹き飛ばすものであったのに対し、この車種は吹き飛ばした雪を吸い込み、あらためて線路外へ投雪するという点で機構が異なる。

東海道新幹線の噴射吸引式除雪車は2車種試作されたが、いずれもメーカは不詳である。ただし、1980年に富士重工業が「特願昭55-046434, 特開昭56-142909, 飛雪吸引式鉄道用除雪装置」という特許を出願しており、これとの関連性が考えられる。


『新幹線で噴射吸引式除雪車の試作成る』, 新線路, 35巻3号, 鉄道現業社, 1981年3月より引用

1980年に試作された第1号車の主な構造は、吸引投雪ブロワ装置、吸引投雪ダクト、圧縮空気噴射ノズル装置、ブロワ駆動装置、空気圧縮機から成っておりこれが2軸ボギー台車を有する台枠の上に搭載されている。自走はできず、軌道モータカーにより牽引され、20 km/h程度で除雪作業が行われる。


西田将次『ラッセル車の自動化』, 新線路, 44巻11号, 鉄道現業社, 1990年11月より引用

1981年には第2号車が試作された。防音のためと思われるカバーに覆われ、キャブも小さくなるなどその形状は大きく変化しているが、その詳細は不明である。

しかし、これら噴射吸引式除雪車は騒音、吸引力、投雪場所などの問題が付きまとい、ほとんど使用されることなく終わった。

 
参考文献


1)『新幹線で噴射吸引式除雪車の試作成る』, 新線路, 35巻3号, 鉄道現業社, 1981年3月
2)『鉄道百科 噴射吸引式除雪車』, 車輛工学, 50巻3号, 車輛工学社, 1981年3月
3)西田将次『ラッセル車の自動化』, 新線路, 44巻11号, 鉄道現業社, 1990年11月