M35

 

概要


小むら直し作業(波長5m前後の短い軌道狂いを保修する作業)用として導入されたM30マルタイは、レール扛上装置が無く扛上量も目視で確認するなど人手に頼る作業が多かった。
そこでM30更新に向けて、レール扛上装置付きのM35マルタイが1996年に日本車両の協力で研究開発が開始され、2001年ごろ完成した。


△M35 車両外形図
出典:文献 1)

車体はM30マルタイと比較して全長が約3m長くなったため、踏切等の安全監視のため両運転台付きとなった(補助運転室側が前位)。

タンピング装置は部品の共用を考慮し、M30マルタイのタンピング装置がそのまま採用された。
タンピングモーターは電気振動式の2kw、ビーターを支持するリンクの上下昇降は油圧制御方式である。
M30マルタイではタンピング装置昇降用シリンダーを2組のリンクの間に配置していたが、
本機はリンクの間にレールキャッチ等の扛上装置を組み入れるため、各リンク1組毎に昇降用シリンダーを配置している。
部品点数が増えてしまうが、細分割(4群→ 8群)となったことで、きめ細かなつき固めが可能となった。

扛上方法は、レール底部キャッチ方式を採用しているので、継目部の打上が可能である。
また、レール扛上装置とタンピング装置と検測装置が同一箇所にあるため、
小むら直し作業(波長5m前後の短い軌道狂いを保修するもの)に最適な構造である。

△M35 タンピング・レール扛上装置
出典:文献 1)

検測装置は高低量測定用の超音波センサーはセンサー梁を介して車体側に取付けられており、バーの上面までの距離を測定してレベル状態からの変位量を左右レールそれぞれ表示する。
検測バーをレール上に降ろすと、検測がスタートし表示部に測定情報を表示する。
カント測定用の傾斜角センサーは検測バー上面の中央に取り付けられており、レールと接触したバーの傾斜角を測定してカント量に換算表示する。

△M35 検測装置
出典:文献 1)

 

諸元


■寸法・重量

長さ 8,000[mm]
2,700[mm]
高さ 3,200[mm]
軸距 5,000[mm]
車輪径 860[mm](4輪絶縁)
自重 約20[t]

■走り装置

動力・電源装置 防音型ディーゼルエンジン発電機 75KVA
走行装置 油圧駆動式
ブレーキ装置 ディスクブレーキ

■性能

作業速度 最大4[km/h]
回送速度 最大40[km/h]
レール扛上量 15[㎜]

参考文献


1)森川 優ほか 『レール紅上装置付マルタイの開発』, 名古屋鉄道研究報告No.45, (2000年11月)