■概要
削正車と電源車の2つのユニットで構成される6頭式の削正車。
レールの寿命延伸を目的としたロングラン削正でなく、波状摩耗やレール溶接部の落ち込み及び空転傷の除去を目的として運用されることが多い。
本車は吉池式の1頭式のレール削正車をベースにより効率的な削正車を開発しようと吉池機械製作所と日本機械保線により製作された。
昭和58年5月に標準軌仕様(1435mm)の1号機が開発され、東北新幹線で使用が開始された。
その後改良が重ねられ、5号機では1067㎜及び1372㎜の2種類のゲージに対応できるほか、砥石の角度を45°まで傾けることが可能となっている。
その後、JRを中心に各社に導入される。
現在各社で活躍しているタイプは初期車より、運転室が大型化している。
△集塵装置が取り付けられていない初期の六頭式波状摩耗削正機 文献6)より
■構造
削正車と電源車で構成される。
回送はモータカー牽引だが、削正現場ではモータカーを切り離して自走により作業を行う。
△削正車
削正車は電源車より供給される電力により、削正用砥石の回転モーターを駆動させるほか、走行用の油圧ポンプ駆動、削正装置の上下用油圧ポンプ駆動、集塵装置用動力、各種照明に用いられる。
削正ユニットは電動モーターにより砥石が直接回転するようになっており、砥石は油圧シリンダーにより上下する構造となっている。シリンダーにより降下させた砥石は機械本体と砥石回転機構を結ぶスプリングの力とバランスした位置で停止するようになっている。この停止位置から上下用の手動ハンドルを操作し、レール頭面と砥石が適切な圧力で接触させることで削正を実施する。
手動ハンドルの操作は車両側面の展開式足場に左右1名ずつ分かれたハンドルマンにより操作される。
作業走行は油圧モーターの回転をチェーンを介して後輪に伝えて駆動する。
△電源車
電源車はデンヨーの125クラスを搭載し、削正車に電源を供給する。
△削正作業するヨシイケ削正車
■ 寸法・重量
削正車
長さ | 6,100[mm] |
幅 | 2,500[mm] |
高さ | 2,840[mm] |
自重 | 7,000[kg] |
発電車
長さ | 4,260[mm] |
幅 | 2,400[mm] |
高さ | 2,370[mm] |
自重 | 4,200[kg] |
■削正装置
砥石数 | 6[基] |
削正用砥石 | リング型:直径255mm×高さ90mm カップ型:直径255mm×高さ80mm |
削正速度 | 600[m/h]~1,000[m/h] |
■走行性能
自走速度(最高) | 8[km/h] |
回送速度(牽引) | 45[km/h] |
参考文献
1)ヨシイケ科研機器「ヨシイケの六頭式レール削正車」
https://www.navida.ne.jp/snavi/796_3.html
(2019.03.16)
2)坂本真一・橘高一己・古谷 勝『レール削正(六頭式)の一考察』,新線路,39巻,12号,鉄道現業社,(1985.12)
3)小倉賢治『レール削正の概況』,新線路,39巻,12号,鉄道現業社,(1985.12)
4)友野耀『6頭式レール削正車による作業』,新線路,44巻,12号,鉄道現業社,(1990.12)
5)星野智晃・小川 力『6頭式レール削正車』,新線路,63巻,11号,鉄道現業社,(2003.11)
6)日本機械保線株式会社『20年のあゆみ』,創旺(1987)