HTM350MWA


■概要
北陸新幹線(金沢-敦賀間)の新幹線工事より投入された高所作業装置付の電気作業車である。鉄道運輸機構内ではMCFと呼ばれる。
ちょう架線及びトロリ線の延線作業は九州新幹線(武雄温泉-長崎間)では架線延線車(SV)1両+架線作業車(RV)2両で行われていたが、北陸新幹線工事ではRV1両に代わる形で延線作業に投入されている。

 

■開発の狙い
MCFは電車線路工事の高所作業の施工性及び安全性向上を目的として開発された。
九州新幹線工事では前述の通りSV1両とRV2両で延線作業を行っていたが、RVはトロリ線延線時の高所作業を想定しているため作業高さはレールレベルより約5[m]程度で設計されている。しかしながら整備新幹線の架空地線、AT保護線、ATき電線の高さは一般的にレールレベルより8[m]以上に位置するため梯子を使用して鋼管柱に昇降用の足場を取り付け作業員が昇降し作業を行っていた。そこで5[m]以上の高所作業ができる車両としてMCFが開発され北陸新幹線工事より投入されることとなった。
トロリ線延線時以外の高所作業ではMCFを使用することで安全性の高い作業が可能となっている。

△高所作業を行うMCF。文献2)より
△高所作業台での作業の様子。文献2)より

 

参考文献
1)古川雄也『整備新幹線電気工事で使用した工事用機械』,鉄道と電気技術,第33巻第12号,日本鉄道電気技術協会,(2022.12)
2)栗原景『多種多様な設備を隅々まで張り巡らし安全・安定輸送の要となる電気設備工事』,鉄道運輸機構だより,No.73,鉄道建設・運輸施設整備支援機構,(2022.03)