熊谷組のマクラギ交換車


従来人力で行っていたマクラギ更換作業を機械化により効率化するために、
昭和38年度に試作機を製作したのを皮切りに、KHR-106シリーズを中心に製造していた。


試作1号機
マクラギ更換の機械化のため昭和38年度に熊谷組によって製造された。
既存の貨物型モータカーの後部台枠にマクラギ更換装置を搭載したもので、
モータカーエンジンよりVベルトで油圧ポンプを回し装置の動力源とした。
マクラギ更換装置はレールクランプ部、ジャッキ部、マクラギつかみ部、
砂利かき出し部、ビーム駆動部、操作盤、タンク部及びフレーム部から
成り立っており、7か所のシリンダーバルブ操作により駆動する。
マクラギ交換時間は最終的に3分で行うことができ、施工の成績も良好であった。


KHR-106シリーズ
昭和39年度、試作1号機の試験結果を踏まえ、
1.基本的なシステムは試作1号機を踏襲
2.装置全体の上下及びマクラギの引出し、挿入をスムーズにして、カンチレバー状態での前傾を防止する
3.操縦者がマクラギを終始確認できるようにする
といった点を改良した試作2号機が製造された。
この車両がKHR-106に相当すると考えられる。
試作1号機より大型の新造の軌道モータカーの車軸間にマクラギ更換装置を搭載した形で洗練された外観になっている。
その後106A、106B、106C、106C1、106C2、106Dの各型式を製造した。
各型式の特色は次の表の通り。

型式 艤装 連結装置 ブレーキ
ドラム
横取装置 補助レール
クランプ
オイルポンプ 油圧回路
KHR106 作業運転室キャブ外 被牽引式(改造化) 内フランジ型 折タタミ式 両面固定式 ベーンポンプ バルブスタンド型
KHR106A 作業運転室キャブ内 固定式 ギヤーポンプ
KHR106B 片側固定式
KHR106C 外フランジ型 エキセント
リック式
マニホールド式
KHR106C1
KHR106C2 被牽引式(一部牽引式)
KHR106D 牽引式

 

参考文献

1)片上鉄道保存会「マクラギ更換機 KHR-106Aの記録」
http://katatetsu.travel.coocan.jp/kichi-p/khr.htm
2)てっしぃ的生涯「旅人の枕木交換機KHR-106A君のお引越し」
http://tessyii.blog.hobidas.com/archives/article/41834.html#
3)『保線機械便覧』,日本鉄道施設協会,(昭和54.1)
4) 秋元清『昭和38年度に技術課題で試作された マクラギ更換機』,施設教育,17巻,7号,鉄道日本社,(1963.7)
5) 秋元清『マクラギ更換機を使って』,施設教育,18巻,1号,鉄道日本社,(1964.1)
6) 秋元清『マクラギ更換機』,施設教育,18巻,11号,鉄道日本社,(1964.11)