LADOGの軌陸高所作業車(ブーム式)


■概要
上成工業製のブーム式高所作業装置を備えたLADOG車である。
一般的なラドック軌陸車の構造についてはこちらを参照のこと。

 

■LADOG高所作業車の特徴
2022年12月に豊橋鉄道の高師車両基地に於いて名古屋鉄道所属のラドックが確認された。


△豊橋鉄道高師車両基地で確認されたラドック車

今まで高所作業装置付きのラドック車の存在は確認されていなかった。未確認個体かと思われたが

△廃車牽引に従事するラドック車

ナンバーは既知の個体と同一であった。
何らかの理由があって高所作業装置を新規製作して従来の荷箱に代わって取り付けたとするのが一番自然な状況説明となると思われたが

△2004年9月製造を示す上成工業の製造銘板

高所作業装置は2004年製であった。

通常トラックに架装を行う場合は高所作業装置等の上部構造物を多数のボルト等で固定して取り付ける。新車時に取り付けられたら廃車となるまでそのままというのが一般的である。
しかしながらラドック車には一般的なトラックにはない特徴があるようである。

名鉄のラドックの荷箱周辺をよく見てみると下のような構造となっている。


△左テールランプ上部の、架台から下に伸びる部品に注目。

ボルトナットで架台を固定しているのがわかる。

シャシの図面を見るとラダーフレームから外側に前後2箇所ずつ、上部構造物を受け止めるステーが伸びているのが確認できる。

△シャシの図面。参考文献1)より

また中古トラックを扱うサイトには以下のような画像が掲載されていた。

△荷箱と架台が一体になっている。参考文献2)より

以上から推察するにラドック車のキャブ後方の上部構造物は容易に付け替えできる構造になっているものと思われる。すなわち新車時ないし納入して間もないうちにラドック用の高所作業装置が納入されたが廃車牽引では必要がなかったため今までその姿が見られなかったということであろう。
廃車牽引用としては新車が今年入ったため廃車牽引用の上部構造物ではなく高所作業装置に付け替えられたと解釈するのが一番自然と思われる。

 

参考文献
1)Ladog Fahrzeugbau『Chassis』
https://www.ladog.de/chassis/?lang=en(2022.12.25)
2)machino『used car categories:LADOG』
https://www.machinio.com/manufacturer/ladog#quickview/49147715(2022.12.25)