MS0238


■概要
箱型車体にボギー台車を備えた大型のレール探傷車。
東京計器製の探傷ユニットを搭載しており、40[km/h]での探傷走行が可能である。

2017年度にJR北海道に導入され、HI-RIC(Hokkaido Iwamizawa Rail Inspection Car)と呼称されている。
岩見沢レールセンターに所属し、同センターの係員が検測操作に当たっている。

従来の牽引式探傷車(MS0208)は排雪モータカーを使用して牽引していたため、冬前から稼働することができなかったが、本形式では単車で走行可能とすることで稼働率が向上している。

また、MS0208では7ch構成であった探触子を8ch構成に変更し、従来1年おきに選択搭載していた頭部用・底部用探触子を両方搭載した他、全域用の探触子を2MHz 0°から5MHz 0°に変更することで、底部腐食の検知が可能となった。
上記に伴い底部腐食測定装置を新たに搭載している。


△底部腐食測定装置画像例 文献1)より

 

■運用
JR北海道では線路等級別に検査周期を定めて検査を実施しており、1・2級線については1年に1回、3級線については2年に1回、4級線については4年に1回としている。
なお、通過トン数が多く輸送障害が発生した際に影響の大きい札幌~函館間については線路等級に関わらず1年に1回の検測を実施している。

 

諸元表

■ 寸法・重量

長さ 17,048[mm]
軌間 1,067[mm]
自重 46.0[t]

 

■探傷装置

探傷方式 超音波パルス反射法
探触子方式 水ギャップ法による摺動型探触子方式
探触子ブロック 個別探触子
一般区間探傷速度 40[km/h]以上
分岐器区間探傷速度 15[km/h]以上
水タンク容量 7,000[L]


△探触子配置

 

■その他装備
レール断面磨耗測定装置
波状磨耗測定装置
マーカーガン装置
データ・デポシステム
レール頭頂面画像撮影装置
画像鮮明化装置付き高感度カメラ

 

参考文献
1)松浦 淳『新型レール探傷車(HI-RIC)の導入』,新線路,71巻,4号,鉄道現業社,(2017.4)
2)東京計器株式会社『北の大地で鉄道の安全を守る』
https://www.tokyokeiki.jp/Portals/0/html/person/saiyo/field/pdf/viewed_123_2.pdf(2020.09.27)
3)熊谷篤貢『レール探傷車の取替』,日本鉄道施設協会誌,57巻,11号,日本鉄道施設協会,(2019.11)