■概要
平成19(2007)年の道路交通法改正により、「中型自動車」(車両総重量5t以上11t未満)という区分が新設され、一方で「普通自動車」が車両総重量5t未満に限られるようになった。それまでの軌陸車は、車両総重量を法改正前の普通自動車の上限である8tに抑えるため、全体的に積載量が少なくベースシャーシも小型トラックが多数であったが、法改正により8tという上限に拘る必要がなくなったともいえる。日本電設工業はこの点に注目し、U565の後継機種ながらベースシャーシを中型トラックとし、中型免許で運転できる軌陸高所作業車としてアイチコーポレーションと共同開発したものが本機種である。
平成23(2011)年の第1回鉄道技術展に試作機が出展され、2年後の平成25(2013)年に正式発売されている。
後方格納の高所作業台等、U565の機能を引き継いでいるが、やはりベースシャーシの変更による積載量がU565の150kgから350kgへ大幅増加しており、ジャッキ未設置状態の作業範囲も最大で1.2m拡大されている。この他に脱線復旧用スライドジャッキ1)や軌間可変機能(狭軌/標準軌)も標準搭載している。
開発者である日本電設工業では、U565をゴクウという愛称で呼称していたが、これに倣い同社では本機種は大ゴクウと呼称されている。
各部諸元は下記の通り。
床面高さ | 9.9m |
積載荷重 | 3名または500kg |
作業床内寸法(L×W×H) | 2,700×1,500×900mm |
鉄輪径 | φ410 |
対応軌道幅 | 1,067/1,435mm |
鉄輪絶縁 | 絶縁・短絡切替スイッチ |
車両寸法(L×W×H) | 6,400×2,290×3,020mm |
車両重量 | 10,450kg |
(JR東日本型式認定番号) | AK-05-029改 |
株式会社アクティオ(2023年12月8日取得)記載の諸元表から抜粋し作成
■参考文献
1)『中型免許枠を活用した軌陸車が新機能満載で登場』,CABIN,vol.84,株式会社アイチコーポレーション(2013.12)
2)株式会社アクティオ『鉄道工事用機械 軌陸高所作業車』
https://www.aktio.co.jp/products/model/s/190407/(2023年12月8日取得)
■脚注
1)車両搭載の安定ジャッキを張り出した状態で車両をスライドさせ、脱線復旧させる機能のこと。