86_軌陸延線車


■概要
一般的な架空電車線方式では、「き電線」「吊架線」「トロリ線」の3種類の電線が一体となって架設されている。
・き電線…変電所からトロリ線への送電線
・吊架線…トロリ線の直上に架設されトロリ線を支持する
・トロリ線…電車線ともいい、電車のパンタグラフが常に接しており電車へ電気を供給する。

当然ながら上記は定期的な張替えが必要である。
張替え作業にはかつて軌道モータカーや電気作業車が用いられており、延線ドラムを荷台やトロに積んで延線作業を行っていた。やがて軌陸車が出現すると軌陸高所作業車とともに延線車も取って替わられ、地下鉄等軌陸車が使用できない線区以外では軌陸車による延線作業が主流となっていった。


函館本線小樽~滝川電化(昭和43年)に向けた架線新設工事風景。貨物型モータカーが延線ドラムを積んだトロを牽引し、タワーが設置されたトロが追従している。
『目で見る江別・千歳・恵庭・北広島・石狩の100年』,郷土出版社,(2005)p122より引用

軌陸車を用いた延線作業(図の場合はトロリ線張替え作業)は、下記の通り軌陸延線車と軌陸高所作業車を同時に使用し行う。
図Aの軌陸延線車は新設するトロリ線が巻かれたドラムを延線してゆき、後続する図BおよびCの軌陸高所作業車がトロリ線に仮ハンガ取付を行う。やがて延線箇所の終点に到達した図Cの軌陸高所作業車がトロリ線に張力を掛けてたわみを矯正し、ここから3台とも折返ししトロリ線に本ハンガ取付を行う事で作業が完了する。


軌陸車を用いた延線作業
『電車線路技術委員会資料(直流電車線路作業の手引第2版機力施工)』,電車線工業協会,(2001)p42より引用


■シャーシメーカー別分類

■架装メーカー別分類