概要
TMC100系軌道モータカーは登場以来、旺盛な需要の下に増備がつづけられたが、現場からはより強力かつ大型の軌道モータカーが求められる。
そこで、160[PS]級※のいすゞ・DH100TP(D)型ディーゼルエンジン(ターボチャージャ付)を搭載し、トルクコンバータによる動力伝達を行うTMC200Aが1964年に登場。
その後につづくTMC200シリーズの先陣を切った。
※ JIS規格の呼称変更により新表示では185[PS]
TMC200Aは当時増備が進められていたTMC100Bなどと同様に幅の狭いキャブが特徴で前面窓は二枚窓になっている。
エンジンが大型化し搭載位置が高くなったため、ボンネットが高くなったのに伴いキャブの背も高くされた。
TMC200シリーズ特有の背伸びしたようなスタイルがこのとき確立された。
動力伝達方式はトルクコンバータ方式となり、速度は高速または低速に切り換えて使用する。
前後進はTMC100系やTMC101系では前後進のギア比が異なっていたため前後で走行速度が異なっていたが、TMC200Aからは等速走行が可能となった。
また、転車装置については富士重工業製の大型転車台を装備し、後部荷台に2.5[t]の荷物を積載したまま転車することができる。
本形式についてもTMC100系やTMC101系と同様にクレーン装備車があり、2.5[t]吊りのものが標準である。
製造番号1~。
TMC200AとTMC200ASの合計で65両が製造された。
諸元
■ 寸法・重量
長さ | 6,100[mm] |
幅 | 2,060[mm] |
高さ | 3,220[mm] |
軌間 | 1,067[mm] |
軸距 | 3,500[mm] |
車輪径 | 762[mm] |
自重 | 10.5[t] |
■ エンジン
エンジン名称 | いすゞ DH100TP |
エンジン形式 | 水冷4サイクル 6気筒 過給機付 |
エンジン出力 | 160[PS]/1,800[rpm] ※ |
※ JIS規格の呼称変更により新表示では185[PS]
■ 動力伝達
クラッチ | トルクコンバータ付湿式、多板油圧クラッチ |
変速機 | 高低速2段 |
逆転機 | 前後進切換(等速) |
駆動輪 | 前後2軸駆動 |
■ ブレーキ方式
主ブレーキ方式 | 空気ブレーキ |
補助ブレーキ | ネジ式手ブレーキ |
■ 主要装置
転車装置・転車台 | 大型自動転車装置 |
離線装置 | 離線車輪付手押 |
撒砂装置 | 全車輪前後方向切替 |
連結器 | 自動連結器 |
連結器高さ | 880[mm] |
■ 積載荷重・定員
荷台積載荷重 | 2.5[t] |
運転室座席定員 | 3人 |
■ 空気・燃料容量
空気圧縮機形式 | C600 |
元空気ダメ容量 | 140[L](70[L]×2) |
燃料タンク容量 | 120[L] |
■ 牽引性能
勾配 | 積載重量 | 牽引重量 | 単車積載時 | 重量牽引時 |
水平線 | 2.5[t] | 160[t] | 50[km/h]以上 | 45[km/h]以上 |
10‰ | 2.5[t] | 110[t] | 45[km/h]以上 | 20[km/h]以上 |
25‰ | 2.5[t] | 60[t] | 40[km/h]以上 | 15[km/h]以上 |
参考文献
1)松田務 『MC -一般型モーターカー見聞録-』, トワイライトゾ~ン マニュアル11, ネコ・パブリッシング, (2002)
2)尾西定明 『大型軌道モータカーの構造と取扱』, 交友社, (1967)