■概要
被牽引式軌道地固め機KR50の成功を受けて製作された自走式の軌道地固め機。
試作車2号機(1号機はKR50)及びその実用型どちらもKR100という型式で呼ばれる。
■構造
KR50は被牽引式であったが、機械経費の節減、作業の単一化を図るため自走式となった。完成は昭和50(1975)年2月で機械番号は土軌振-2が割り当てられた。
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外観形状は上図のように前方にエンジン、後方に運転席、中央に起振機がレイアウトされている。
車体の前後にアウトリガ―を取り付け、車体横下の横取レールで離線することもできるようになっている。
基本構造はKR50とほぼ同様とし、自走用の動力は起振機用のエンジンから動力分配機を経て油圧ポンプ、油圧モータを駆動して走行用減速機に伝達される。
自走は作業時のみとし作業速度はを10[km/h]以下である。現場までの距離がある場合にはKR50同様に軌道モータカーによる牽引となる。
運転席は床下に防振ゴム、椅子はクッション性の良いものを使用し運転に支障をきたさないように配慮されている。操作は油圧式のレバーにより行い扱いが簡素化されている。
起振機はそれ自体が回転しながら振動するものでレール踏面に直接力を加え、レールから道床、路盤へと力が伝わるようになっている。起振力は容易に調整が可能である。
■KR100実用型の製作
十数回に及ぶ試作型の実地試験を経て実用型が昭和50(1975)年度より製作された。
大きなところでは運転室がキャビンになるなど居住性、作業性、騒音の低減などに配慮したつくりとなっている。
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■主要諸元
実用型の主な諸元は以下の通り。
最高被牽引速度 [km/h] |
作業時 | 15 | |
回送時 | 45 | ||
最小被牽引力[t] | 1.0(勾配35/1,000に於いて) | ||
機関 | 形式 | 4サイクル空冷直列3気筒直接噴射式ディーゼル機関 | |
定格出力[PS/rpm] | 44/2,000 | ||
最大トルク[kgm/rpm] | 16/1,750 | ||
起振機 | 形式 | 起振力可変形1軸偏心式 | |
起振力[kg] | 1,000~5,000 | ||
振動数[cpm] | 1,100~2,000 |
外形 | 全長[mm] | 4,250 |
全幅[mm] | 2,220 | |
全高[mm] | 2,600 | |
輪軸 | 軸距[mm] | 2,500 |
車輪径[mm] | 660 | |
横取車輪中心間隔[mm] | 1,500 | |
連結器中心高さ[mm] | 420 |
参考文献
1)五十嵐伊三郎『振動式軌道地固め機械』,鉄道土木,第17巻11号,日本鉄道施設協会,(1975.11)
2)石原一比古『軌道地固め機(自走式)の試運転が実施された』,鉄道線路,第23巻3号,日本鉄道施設協会,(1975.03)