長谷川工作所のバラストレギュレーター

△片山吉信様所蔵写真を許可を得て掲載しています。


■概要
長谷川工作所は北海道における日本プラッサー・新潟トランシス等の保守用車の整備を請け負うサービス代行店であるが、自社にて保線機器の製造も行っている。
ここでは保守用車タイプのバラストレギュレーターの前段として、軌道モータカーへ取り付けるアタッチメントタイプのレギュレーターユニットも併せて紹介する。

 

■鼻バラスト除去装置 -1975年頃
道床肩部に雑草が繁茂したりバラストが劣化し細粒化が進むと、軌間内の水を脇に排水することができず水はけが悪くなる。
これを改善するためにはマクラギ鼻(端)の劣化したバラストを除去し、除去した部分に新しいバラストを投入する必要がある。

この鼻バラストの除去作業のために開発されたのが軌道モータカーに取り付けるアタッチメントタイプの鼻バラスト除去装置である。

 

■砂利掻上げ装置(H-2000) -1988年頃
バラスト散布後の掻き上げ作業のため開発された軌道モータカーに取り付けるアタッチメントタイプの道床整理機である。
掻上翼でバラストを掻き上げることができる。

△砂利掻上げ装置 H-2000

 

 

■道床整理機(H-2300) -1989年頃
バラスト散布後の掻き上げ・道床肩整正作業のため開発された軌道モータカーに取り付けるアタッチメントタイプの道床整理機である。
軌道モータカーの前位側に伸びる掻上翼でバラストを掻き上げ、後位側に伸びる掻きならし翼で余剰バラストを掻きならすことができる。

△左が掻きならし翼 右が掻き上げ翼

 

■JR北海道向け バラスト掻き入れ・掻き出し装置(型式不明) 1990年頃
バラストを軌間内に掻き入れ、余剰分は軌間外に掻き出すことができる牽引式バラストレギュレーターである。
1995年頃のJR北海道では曲線における乗り心地向上のためのカント量向上工事が盛んに行われるようになり、外軌側にバラストを補充する必要があったがホキ車により散布しても内軌側にバラストが落ちてしまうという問題が発生するようになった。
これを解決するために、本型式の掻入れ翼と掻出し翼の間に仕切り板を設け、翼を一文字にすることでバラストを内軌側から外軌側へ掻き寄せることができるように改造された。

△バラスト掻き入れ・掻き出し装置
△仕切り板追加改造 文献5)より

 

■JR西日本新幹線向け(SH-200)-1990年頃


 

■JR西日本新幹線向け(SH-8000)-1997年頃

△文献6)より

 

参考文献

1)日本国有鉄道・長谷川工作所 実全昭52-86102『軌道敷の鼻バラス除去装置』
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-S52-086102/23/ja
2)長谷川工作所 実全平3-42802『軌道敷の砂利掻上げ装置』
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-H03-042802/23/ja
3)渡辺裕治『道床整理作業の機械化』,新線路,46巻,1号,鉄道現業社,(1992.1)
4)『道床整理機,簡易まくらぎ更換機の導入』,新線路,47巻,3号,鉄道現業社,(1993.3)
5)佐藤克弘『道床整理機の改良』,新線路,49巻,4号,鉄道現業社,(1995.4)
6)松田務『バラスの整理屋 -「バラスト=レギュレーター」とその仲間-』,トワイライトゾ~ンMANUAL : 全国鉄道面白謎探検 7,ネコ・パブリッシング,(1998.11)
7)芝浦製作所OB 片山吉信様の談話による