■概要
電柱の建て替え作業に用いられる装柱作業車。
CWはColumn Wagonを意味する。
CBW + CW + CT + PT の組み合わせで新幹線電柱建替用車両(CW編成)を組成して編成で電柱建て替え作業を行う。
同じく新潟トランシス製の電気作業車であるCW(Crane Wagon)のうち、電柱建替用途に製造されたJR西日本仕様を参考に製造された。
略称こそ同一であるが、本形式は別系統の製造番号が割り当てられた別型式である。
本記事ではCW編成全体の解説も併せて行う。
■背景
東日本大震災や福島県沖地震により単独コンクリート柱の折損や傾斜等の被害が広範囲に発生した。
福島県沖地震の際には電柱を始めとした電車線路設備の復旧に時間を要し、運転再開まで長い期間を要した。
このことからJR東日本では地震対策の優先順位を見直し、CW編成を導入しコンクリート柱の鋼管柱への建て替えのスピードアップを図ることとした。
■編成

車種名 | 型式 | 用途 |
電柱用高所作業車 | CBW | 電柱上部の電線類の付け外し作業 |
装柱作業車 | CW | 電柱を交換する間の架線・ブラケットの仮受 ブラケットの付け外し作業 |
電柱建植車 | CT | 電柱の建て替え |
電柱運搬車 | PT | 電柱の運搬 |
■工法
・撤去
①CTのクレーンを用いてコンクリート柱を仮吊する。
②CBWのバケットを用いて高所にあるき電線や腕金を取り外す。
③CWの架線仮受装置を用いて可動ブラケットを仮受けする。
④CWのデッキを用いて可動ブラケットを電柱から取り外す。
⑤CTのクレーンを用いてコンクリート電柱を吊り上げて抜き取る。
⑥CTのクレーンを用いてPTにコンクリート電柱を搭載する。
・新設
①CTのクレーンを用いてPTから鋼管柱を取り出す。
②CTのクレーンを用いて鋼管柱を建植する。
③CWのデッキを用いて可動ブラケットを鋼管柱に取り付ける。
④CWの架線装置から可動ブラケットを取り外し元の位置に戻す。
⑤CBWのバケットを用いて高所のき電線や腕金を取り付ける。
⑥CTのクレーンを鋼管柱から切り離す。
■構造
・運転室
車体前方にのみ備えている。
・高所作業機
車体中央に高所作業用のデッキを搭載している。
・架線仮受装置
車体後方に架線仮受用の架線仮受装置を搭載している。
水平1,600[kg]、垂直3,200[kg]までの荷重を保持できる。
■走行性能
勾配 | 牽引重量 | 単車時 | 牽引時 |
水平線 | 110[t] | 70[km/h]以上 | 70[km/h] |
15‰ | 110[t] | 50[km/h] | 20[km/h] |
30‰ | 110[t] | 30[km/h] | 3[km/h] |
参考文献
1)佐々木 崇人・野澤伸一郎・築嶋大輔・金子顕『新幹線用コンクリート製電柱の地震被害とその対策』,コンクリート工学,53巻,7号,日本コンクリート工学会,(2015.7)
2)『福島県沖地震に伴う東北新幹線の被害と復旧状況等について』,東日本旅客鉄道株式会社,(2022.4.20)
https://www.jreast.co.jp/press/2022/20220420_ho01.pdf
(2023.6.9閲覧)
3)伊知地義尚・村上智美『地震対策を推進する新幹線電柱建替用車両の導入』,JREA,66巻,1号,日本鉄道技術協会,(2023.1)
4)村上智美・早川元・渡邊泰史『地震対策を推進する新幹線電柱建替用車両の導入』,建設機械施工,75巻,3号,日本建設機械施工協会,(2023.3)