ダイハツディーゼルのバラストフィニッシャー


■概要
新設線または主要改良工事で軌道敷設工事が完成したのちに実施する地固め試運転を機関車の代わって行うために製作された車両である。
型式名として存在が明らかになっているものにはKR50及びKR100がある。

KR100以降のダイハツディーゼル製の保守用車は記事執筆時点(2024年6月)でバラストフィニッシャー以外を含めても確認されていない。

 

■開発の背景
バラストフィニッシャー登場前の地固め試運転はその線区の機関車が充当されていた。しかし機関車による地固め試運転には問題があった。

・特に多客期に於いて月間運用日数の制限、乗務員手配などの調整が困難であること。
・在来線から新設線への切り換えは仮切換を必要とすること。施工間合は夜間に限定されるため切換要員の確保、対応と話合いが必要で、局によっては承認され局達示になるには多くの難点があること。

以上の問題点の打開策として「新設線の軌道地固め機械の開発」が昭和48(1973)年から技術課題に指定され研究開発が進められることとなった。

この研究開発の結果として誕生したのが試作1号機であるKR50及び試作2号機KR100である。
KR100は実用型として量産も為され露出は少ないながらも平成年間までその姿を見ることができた。

 

■開発の経緯
機関車が地固め試運転で軌道に与える効果は重量と振動の2つの要素によって変わってくるが、2要素の積が機関車と同等の機械があればよいことになる。

当初は機関車と同等の重量物を載荷する方法や軌道試験機のような振動発生機を使用する方法などが考えられたが、全区間にわたって行うことは重量物の移動が困難な上に高価もあまり期待できないことからフラット車輪を取り付けた軌道モータカーを走行させる方法が昭和45(1970)年に考えられた。

荷台に4.1[t]の死荷重を積載し速度25[km/h]で運転する際に発生する衝撃を利用して軌道締固めを行ったところDD13機関車同様の地固め効果が確認された。しかし、この平踏面付モータカーは一般区間をそのまま走行させることは好ましくなく運用効率が低下するなどの欠点があるので新規に振動ローラー式の地固め機械が開発されることとなった。

 

参考文献
1)五十嵐伊三郎・吉岡太二郎『新しく開発された地固め機械』,鉄道線路,第25巻5号,日本鉄道施設協会,(1977.05)
2)五十嵐伊三郎『振動式軌道地固め機械』,鉄道土木,第17巻11号,日本鉄道施設協会,(1975.11)
3)古賀勝彦『軌道地固め機械の調査』,新線路,第30巻6号,鉄道現業社,(1976.06)