84_軌陸橋マクラギ交換機


橋マクラギは橋梁きょうりょう上の無道床区間に設置されるマクラギの一種である。
軌陸橋マクラギ交換機は劣化した橋マクラギを交換するための保守用車である。

マクラギ交換を行う保守用車としてはマクラギ交換車や軌陸バックホウにマクラギグリッパーアタッチメントを付けたものが知られている。

橋マクラギ交換機もマクラギを交換するという目的は同じである。しかしながら橋マクラギは通常のマクラギとは交換のやり方自体が異なる。マクラギの撤去時を例にとると、通常のマクラギでは締結装置を外して周辺の道床を除去すればマクラギは下に落ちるので引き抜きできるが、橋マクラギは無道床であるため締結装置を外してレールを扛上こうじょうしないと抜くことができない。

交換のやり方が異なるため、他のマクラギ交換機とは構造が異なっている。

軌陸橋マクラギ交換機は、小型の軌陸バックホウや軌陸クレーンをベースとしつつ狭隘きょうあい橋梁きょうりょう上という現場での作業を念頭に置いた短いアーム部を持つことが特徴といえる。また、複数のマクラギの締結装置を緩解して作業を行うため軌間拡大による脱輪が想定される。脱輪を防止するためレールキャッチ装置を備えているのがもう一つの特徴といえる。

なお、レールの扛上こうじょう機能は備えておらず、レール吊り上げ器等を用いて行う。

軌陸橋マクラギ交換機の登場は1990年代半ばであった1) 2)
(同じ時期の施工でも会社によっては作業に専用機ではなく軌陸クレーンを用いることもあったようである3)。)

同様の構造の軌陸バックホウと比較すると少数ではあるが、当DBに投稿されている大鉄工業の個体のほかに初代大鉄工業機4)、大鉄工業所属の量産機が少なくとも他に2機5)、第一建設工業6)、四国開発建設7)、北海道軌道施設工業8)所属のものが確認されている。

脚注
1)文献1)。東海道新幹線用の橋マクラギ交換機の試作機。試作を受けて量産型が作られたかどうかは不明である。
2)文献2) p.9。「平成8年から橋まくらぎ交換機を導入してきた。」とある。
3)文献3)。ハニックス工業のK&B550SL及びキャタリンSK60Cを用いた作業の報告記事である。
4)文献2) p.11。「この訓練センター(筆者注:大鉄軌陸訓練センターを指す)に老朽取替を行った現行機を1台常備し」とある。
5)文献2) p.11 写真-8。3機の量産機が確認できる。なお、写真中に「#1001」の張り紙、また確認済個体が機械番号1002であることを考えると残りの1機の機械番号は1003と推測される。
6)文献5)。
7)文献5)。四国開発建設の施工現場を見学したとあるので同社も保有していると考えられる。
8)文献6)。

参考文献
1)袖川昭二『東海道新幹線における橋まくらぎ更換機の開発』,新線路,第50巻6号,鉄道現業社,(1996.06)
2)木川浩介『新型橋まくらぎ交換機の導入』,新線路,第64巻10号,鉄道現業社,(2010.10)
3)秋野正彰『橋まくらぎ更換の機械化施工』,新線路,第48巻9号,鉄道現業社,(1994.09)
4)渡辺明治『マクラギ更換機によるマクラギ更換作業の一方法』,新線路,第24巻10号,鉄道現業社,(1970.10)
5)清野文武『軌陸BH型橋マクラギ交換機の導入』,新線路,第69巻5号,鉄道現業社,(2015.5)
6)『JR北海道・北海道軌道施設工業(株) 橋マクラギ交換機の導入』,新線路,第73巻10号,鉄道現業社,(2019.10)