■概要
溶接車とは保守基地等から現地に運搬した定尺レールを、現地で溶接しロングレールにするための車両である。
■レール溶接の手法
レールとレールを接合させる代表的な方法として、下記の手法が挙げられる。
方法 | 熱源 | 溶融金属 | 記事 |
ガス溶接 | ガス | 溶接棒 | ガス炎によりレールを溶融し 溶接棒と融合凝固させる |
アーク溶接 | 電気 | 溶接棒 | 電流によりレールを溶融し 溶接棒と融合凝固させる |
テルミット 溶接 |
アルミ +酸化鉄 |
酸化鉄より 生成される 溶鋼 |
アルミニウムと酸化鉄を 混合した際に発生する 高温の溶鋼を レールと融合凝固させる |
ガス圧接 | ガス | 無し | ガス炎により 溶融したレール同士を 強い圧力で突き合わせて 溶融凝固させる |
フラッシュ バット溶接 |
電気 | 無し | 電流により溶融したレール同士を 強い圧力で突き合わせて 溶融凝固させる |
この中でフラッシュバット溶接は接合部の信頼性や生産性が高く、最良の方法ではあるものの大量の電気を必要とすることから定置式のものが主流である。
当初は定置式のものしか無かったが、消費電流を抑えた小型の移動式フラッシュバット溶接機が登場したことから、フラッシュバット方式の溶接車が普及している。
■フラッシュバット溶接
フラッシュバット溶接の原理は、接合するレール端面間に電力を付加し、圧接させることで接触による抵抗発熱と局部発熱により火花(フラッシュ)とアークを発生させ、これを繰り返し、接合面全体に溶融層が形成された後に、急速圧接により溶接継手を得るといったものである。
■日本のフラッシュバッド溶接車
日本において最初に導入されたフラッシュバット溶接車は1964年頃にソビエトから輸入されたK-355形(K-333形という資料も有)であり、山陽新幹線の岡山~博多駅間の工事を中心に活躍した。
その後は秋田・山形新幹線の軌道工事に軌陸フラッシュバット溶接車が用いられた他、現在はPlasser&Theurerのフラッシュバット溶接車が主流となり小田急電鉄やJR東日本、JR九州で導入されている。
参考文献
1)『フラッシュバット溶接とガス圧接』,新線路,15巻,2号,鉄道現業社,(1961.2)
2)田中五十大『ソ連製 フラッシュバット溶接機』,新線路,28巻8号,鉄道現業社,(1974.8)
3)山本隆一『日本におけるレールの溶接』,WE-COMマガジン,8号,日本溶接協会,(2013.4)
4)藤井充・中野渡弘昌・成合潔『レールのフラッシュ溶接技術』,JFE技報,No.34,JFE,(2014.8)