写真:尼崎機械軌道区へ導入された本形式。キャブ取り付けなどの改造を受けている。

尼崎機械軌道区へ導入された当初の写真。河村浩「保線機械の開発」,鉄道技術研究資料,26巻3号(1969.3)図2より引用。
■概要
昭和43(1968)年2月に国鉄大阪鉄道管理局尼崎機械軌道区へ導入されたラインマルタイである1)。当時国鉄はMATISAやPTなど海外製のレベリングまたはライニング装置付きマルタイを頻繁に導入しており2)、本機種もその一環として試験的に導入されたものと思われるが、国鉄におけるタンパー社製マルタイは最初にして最後の導入例となった。
機種名はUDEJ-2.5D3で、JRS規格にも同機種名で登録されているが3)、エレクトロマチックタイタンパーというメーカー側の製品名で呼称されている文献も見受けられる。
なお尼崎機械軌道区には昭和53(1978)年にPT製道床交換作業機RM74Uが導入されるが、同機種による道床交換作業時の仕上げである総搗き作業用に本機種が活用されていた4)。この時点で本機種の導入から8年が経過している事も考慮すると、1台きりの試験的導入でありながら同区においてはそれなりに活用法が見いだせていた事が伺える。
■構造解説
モーターによる電気振動による搗き固めを行う電気式マルタイである。レベリング装置は赤外線式で、本体とケーブルで接続された先駆車より照射される。高低狂いのない場合、下記図のように赤外線は本体に搭載された遮蔽板(シャドウボード)で遮られ受光器に届かないが、高低狂いが発生している場合は遮蔽板をすり抜けて受光器で赤外線が受光される。この機構により高低狂いを検知し、本体に搭載されたジャッキを用いて受光器に赤外線が受光されなくなるまでこう上する仕組みである。

本機種レベリング作業解説図。先駆車より照射された赤外線を遮蔽板が遮るようになるまでこう上する仕組みである。大橋(1969.2)図1および2より引用。
本機種と同形と思われるMk2という機種のレベリング作業動画。先駆車より照射された赤外線を遮蔽板が遮るようになるまでこう上する様子がお分かりだろう。
なおライニングも同じ機構により行われ、先駆車の側面にライニング用投光器、本体の側面にライニング用遮蔽板が搭載されており、これに加えて本体にライニング用受光器を搭載した受光車を連結して行う。また曲線区間おいては本体の遮蔽板の補助として、本体と同じ位置で赤外線を遮蔽できる触手車が用意され作業を行うものである。

本機種によるライニング作業解説図。原理はレベリング作業同じで、本体および触手車の遮蔽板で赤外線が遮られるようになるまで通り矯正を行う。大橋(1969.2)図4-Aおよび6より引用。
その他の性能は諸元を下記に示す。
| UDE-J2.5D3 | ||
| 全長×全幅×全高 | 約6,500×2,420×2,950mm | |
| 重量 | 14,850kg | |
| 原動機 | 水冷4気筒ディーゼルエンジン 115HP/1,600rpm |
|
| 発電機 | 75kVA 127V 50c/s 3相 | |
| タンピング装置 | 位置 | 前部5) |
| ツール数 | 16本5) | |
| 機構 | 等圧締付式5) | |
| 作業能力 | 5秒/枕木1本 | |
| レベリング装置 | 方式 | 光線式5) |
| こう上装置 | アウトリガ式5) | |
| ライニング装置 | 方式 | 光線式5) |
| 走行性能 | 最高速度 | 45km/h5) |
| 作業能力 | 150~200m/h5) | |
| 走行装置 | 油圧モーター式 | |
大橋(1969.2)表1から抜粋し作成。なお注釈付きの諸元は別資料より引用。
■参考文献
1)大橋正義『エレクトロマティックタイタンパー』,施設教育,22巻2号(1969.2)
■脚注
1)小倉賢治『マルタイの概況』,新線路,41巻10号(1987.10)ではスイッチマルタイとして本機種が紹介されているが、その他の文献においてスイッチマルタイと思われる装備が一切確認できない事から、本記事ではラインマルタイとして扱う。
2)MATISA BNR60、BNRI80、PT PLM275E、06-32等。
3)『JRS』,鉄道線路,15巻10号(1967.10)
4)越前忠夫・須藤博『バラスト更新機作業』,新線路,33巻9号(1979.9)
5)秋元清『保線機械の開発とその経過』,鉄道線路,20巻6号(1972.6)


