■概要
トンネル覆工表面撮影車とはSystem for Automatic inspection of Tunnel surface Zoneの頭文字を取りSATUZOと呼ばれるJR西日本に導入されているトンネル覆工表面検査システム用の撮影車を指す。
このシステムではレール上を走行する撮影車からトンネル覆工に向けてレーザを照射しその反射の濃淡を検出し変状などの視覚情報を取得する。
ここでは新幹線用に開発され引退済みのSATUZO及び在来線用に導入されたminiSATUZOについて紹介する。
なおJR西日本公式ホームページなどではトンネル撮像車と記載されている。
■導入の経緯
山陽新幹線では1999年に相次いでトンネル覆工コンクリートが剥落する事故が発生した。
これを受けてJR西日本は二度と覆工コンクリートの剥落を起こさないことを目指し山陽新幹線のすべてのトンネル全面に打音検査を行うなどの対策が行われた。
SATUZO導入以前のトンネル覆工検査では検査者が目視でひび割れ等をスケッチし事務所で変状展開図に転記するというという方法が一般的であり、
・記録の精度に検査者の個人差がある
・ひび割れ等の変状の正確な位置や大きさを把握することが困難である。
・現地における記録や事務所での変状展開図の作成に多くの労力・時間を要する
など多くの問題点を抱えていた。
これらのことを契機に新たな検査機器の開発が進められる中で実用化されたシステムである。
■SATUZO(新幹線用)
2002年に導入された新幹線用の撮影車
トンネル覆工表面を連続的に撮影し、その結果を画像処理・合成し自動的に展開図を作成することができる。
トンネル検査における目視検査をSATUZOによる撮影により置き換えることでデータの精度と収集速度の大幅な向上を実現した。
画像データを事務所に居ながらディスプレイ等によって確認することができ、より効率的に目視検査を行うとができるようになった。
SATUZOによる検査結果をトンネル保守管理システム(TuMaS)に移行できる機能を備え、トンネルの保守管理に必要なデータを一元的に管理している。
なお 老朽化に伴い”新”SATUZOとして MS0239 に撮影装置が搭載されたためSATUZOは引退済みであると思われる
■miniSATUZO(在来線用)
新幹線用SATUZOを在来線にそのまま適用すると車体が大きく載線可能な踏切等が制限されること、半断面撮影形式であることから在来線の単線トンネルにおいては往復での撮影が必要となること、などの課題が想定された。
そこで新幹線用SATUZOと同等以上の撮影性能を備え、miniSATUZOとして2007年に導入された。
miniSATUZOは新幹線用SATUZOとは異なるレーザユニットを使用することで小型化を達成した。
また単線トンネルの効率的な撮影のため、複線用トンネルに用いる180度走査レーザユニットと、単線用トンネルに用いる360度走査レーザユニットの2つを搭載することで効率的に撮影することができるようになった。
また振動の影響を受けないようエアダンパをレーザユニットの防振構造に採用している。

| 名称 | SATUZO | miniSATUZO | ||
| 全長 | 7,400[mm] | 6,000[mm] | ||
| 全幅 | 2,490[mm] | 2,250[mm] | ||
| 全高 | 道路上 3,400[mm] | 道路上 3,180[mm] | ||
| 対応軌間 | 1,435 / 1,067[mm] | 1,067[mm] | ||
| レーザユニット | 180度走査型気体レーザ (Arイオンレーザ) 1セット |
180度走査及び360度走査型固体レーザ (半導体レーザ励起YAGレーザ) 各1セット |
||
| 180 度走査時 (半断面撮影時) |
撮影速度 | 解像度 | 撮影速度 | 解像度 |
| 2.8 km/h | 0.5 × 1.0 mm | 4.2 km/h | 0.5 × 1.0 mm | |
| 5.7 km/h | 0.5 × 2.0 mm | 8.5 km/h | 0.5 × 2.0 mm | |
| 8.5 km/h | 1.0 × 2.0 mm | 8.5 km/h | 1.0 × 2.0 mm | |
| 17.0 km/h | 1.0 × 4.0 mm | 17.0 km/h | 1.0 × 4.0 mm | |
| 360 度走査時 (全断面撮影時) |
非対応 | 撮影速度 | 解像度 | |
| 2.2 km/h | 0.5 × 1.0 mm | |||
| 4.5 km/h | 0.5 × 2.0 mm | |||
| 4.5 km/h | 1.0 × 2.0 mm | |||
| 9.0 km/h | 1.0 × 4.0 mm | |||
参考文献
1)藤井大三『トンネル覆工表面検査システム(SATUZO)』,日本鉄道施設協会誌,第43巻5号,鉄道施設協会,(2005.05)
1)金子幸弘『トンネル保守管理システム(TuMaS)』,日本鉄道施設協会誌,第43巻5号,鉄道施設協会,(2005.05)
2)渡辺佳彦,『在来線トンネル覆工表面撮影車の導入』,日本鉄道施設協会誌,44巻2号,日本鉄道施設協会,(2006.02)


