東急電鉄の保守用車

■概要
東急電鉄は東京都西南部から神奈川県東部に計9路線、営業キロ110.7kmの鉄軌道路線を運営している。世田谷線の除く路線で保守用車の配備が確認されている。

■保守用車の特徴
マルタイや削正車といった大型保守用車を有する工務部と電気作業車や軌陸作業車を有する電気部がある。民鉄ではじめてマルタイやレール探傷車を採用するなどといった特徴もある。

東急電鉄が所有する車両の他、東急テクノが所有する軌陸車も運用が確認されている。

モータカーを中心に伊豆急行や上田電鉄といった地方鉄道への譲渡車の複数確認されている。

■車種別一覧
軌道モータカー
トロ牽引の動力車として、最初期はガソリンカーが使用されていた。
1972年の段階では3t,4t,7,9t,12t,14tクラスのモータカーが確認されている。また、世田谷線においても1372mmに改軌されたモータカーが使用されていた実績があるが、現在はモータカーの配置はない。

現在は松山製のモータカーが主力で現在は20t以上クラスが多くを占める。少数だが北陸重機製の22tクラスも所有している。
また2018年には削正車の救援用の20tモータカー重連に代わる車両として、北陸重機製の45tクラスの大型モータカーが1両納入されている。

機械番号はDMC+4桁の数字となっている。
東急電鉄からの譲渡車と思われる車両も記載する。


東急電鉄→上田電鉄に譲渡

東急電鉄からの譲渡車と思われる

東急電鉄からの譲渡車と思われる

東急電鉄→上田電鉄に譲渡

東急電鉄→伊豆急行→秩父鉄道に譲渡

東急電鉄からの譲渡車と思われる

 

電気作業車
電車線のメンテナンスや張替作業に用いられる車両。作業台や測定用のパンタグラフを有している。現在1両が確認されている。


除籍済

 

道床更換作業車
1983年に目黒製の道床更換機を導入している。軌道整備の他、改良工事などでの線路低下作業にも使用された。田園都市線溝の口駅改良工事で使用したのを最後に引退し、以後東急電鉄では道床更換作業車の配備はない。


除籍済

 

タイタンパー
東急電鉄におけるマルチプルタイタンパーの導入は民鉄の中でも早く、昭和33年にはマチサのスタンダード型が導入されている。昭和48年にはマチサB-85型、昭和58年にマチサB-242型を導入。1989年にプラッサー09-32CSMを導入して以後はプラッサー製を採用しており、2001年に08-16/32U、2015年に現行の08-1Xを導入している。かつては2~3台で全線を施工していたが、現在は08-1X 1台で運用されている。

△文献 1)より
MATISA_スタンダード型
電車とバスの博物館で展示
→博物館移転に伴い解体

△文献 1)より
MATISA_B-85
除籍済

△文献 1)より
MATISA_B-242
除籍済

△文献 1)より
PT_09-32CSM
除籍済

△文献 1)より
PT_08-16/32U
除籍済

 

バラストスイーパー
マルタイ作業後の道床整理として、1983年に松山製が導入、2013年に後継機として同じく松山製のMR1312が導入されている。

△文献 2)より
松山_CBC2401
除籍済

 

レール削正車
2001年よりスペノのRR16M-19が導入され、老朽置き換えとして2016年に現行のRR16M5B-39が導入されている。

△文献 1)より
SPENO_RR16M-19
除籍済

 

検測車
1981年より牽引式の軌道検測車から吉池製の自走式の検測車(TIC)を運用していたが、1997年よりサヤ7590形軌道検測車による測定に切り替わっている。

また1987年から民鉄では初となる探傷車を導入している。東急電鉄での呼称はUST。被牽引式でTCC(レール清掃車)とTIC(軌道検測車)と編成で運用されていた。2008年に自走式の松山製MS0219に、2023年に後継のMS0254に置き換えられている。

軌道検測車 TIC
除籍済

△文献 3)より
UST
除籍済

 

レール清掃車
東急電鉄ではレール及び車輪の寿命を伸ばすため、1958年よりレール側面に油を塗布している。しかしこの油にホコリ等が付着し、線路巡視の妨げの一因となること、またマルタイ作業や軌道検測車作業で検測車輪により固まった油がレー踏面に掻き上げられ、スリップの原因となる恐れがあった。これら問題に対して、人力による清掃を実施していたが省力化の為、1987年に専用車として芝浦製作所製のレール清掃車(TCC)が導入された。回転式のワイヤーブラシと散水ノズル、エアーノズルを装備し、牽引による中速、また自走による清掃運転が可能であった。

TCCの後継機として、2010年に松山製MC0691が導入されている。本車からは自走機能が無くなったため、名称もTCT(CのカーからTのトロリー)に変更となっている。

△文献 1)より
TCC
除籍済

 

クレーン車
池上線立体交差化工事で松山製のクレーン車(TCC)を導入した実績がある。被牽引で回送され、現地で切り離し自走して作業を行う。

△文献 2)より
TCC
除籍済

軌陸車

電気部にて架線整備用として保有。2023年の段階で4台を保有している。

 

トロ

【遠隔制御車(RCC)】

【レール運搬トロリー(RT)】
25mレールを運搬するトロ。RCC-RT×3ーMCの編成で運用される。

【資機材運搬車(BCT)】

【砕石運搬車(BST)】
ホキ車タイプの車両で、高架化や複々線化工事後の騒音対策の一環で消音砕石を運搬散布する際に多く稼働した。現在は全て廃車となっている。

【残土コンテナ車(BOCT)】
道床更換等で発生する廃バラストの処理について、基地周辺の騒音、振動、粉塵等の問題を考慮して、バラスト用コンテナを基地の橋形クレーンで積卸す方式を昭和55年頃より採用している。バラストコンテナは底板がピンの操作により2枚に割れる構造となっており、ダンプトラックへ廃バラストを積卸可能な仕組みとなっている。



【遠隔室付ダンプトロリー】

【ユニバーサルトロリー(UT)】

【ロングレール運搬車(LRT)】
25mより長いレールの積込、運搬が可能な台車。14台を使用しおよそ200m程度のレール長の運搬が可能。

【建築限界測定車】

【アルミトロリー】


■参考文献

1)東急株式会社東急100年史編纂事務局『東急100年史』(2023.09)
2)松山重車輌工業株式会社 製品カタログ
3)東京計器レールテクノ株式会社 鉄道保線機器総合カタログ(2023.11)
4)雨宮 功『線路と保線』,鉄道ピクトリアル,No.442(1985.01)
5)雨宮 功,河合 徹『東急電鉄における保線作業の機械化』,新線路, 35巻9号, 鉄道現業社, 1981年9月
6)相沢 源之助『東急における軌道清掃車の開発』,新線路, 42巻9号, 鉄道現業社, 1988年9月

This website stores cookies on your computer. These cookies are used to provide a more personalized experience and to track your whereabouts around our website in compliance with the European General Data Protection Regulation. If you decide to to opt-out of any future tracking, a cookie will be setup in your browser to remember this choice for one year.

Accept or Deny